2023 FIM EWC Kawasaki Webike Trickstar 参戦報告
2023 FIM ENDURANCE WORLD CAHMPIONSHIP
シリーズランキング6位 (106.5 ポイント獲得)
新生チームとして参戦したFIM 世界耐久選手権(EWC) シリーズは6位で幕を閉じました。
多大なるご支援をいただきまして本当にありがとうございました。
目指していた目標には届かなかったものの、カワサキの看板を背負い全力で戦い抜いた全4戦を
通して得たものはとても大きく、同時に今のチームに足りていない部分も明確に見えて来ました。
我々は更に強くなることが出来ます。オフシーズンにしっかりと体制を整え、2024 年シーズンは
表彰台が獲得できるよう尽力して参りますので、変わらぬご支援をどうぞ宜しくお願い致します。
第1戦 ルマン24時間耐久ロードレース
初戦 ルマン24 時間耐久ロードレース はチーム結成後初めてのレースとなる。
フランス人と日本人の混合チームのKWT は共通言語の英語でコミュニケーションをとりながら潤滑にレースウィークを進め、予選はランディ選手、渡辺選手のタイムの合算結果により10 番グリットから決勝を迎える。
前日の予選で転倒したポンソン選手の回復が見通せず、チームはリザーブライダーの岩戸選手の出走を決める。
10 番グリットからスタートしたランディ選手は順調なスタートで1スティント目を3 位で終え、その後3名のライダーでバトンを繋ぎ安定したペースで7 位前後での周回を重ねていく。
レース開始から17 時間、コース上が濃い霧に覆われ視界不良の影響を受けて岩戸選手が転倒してしまう。
車両をすぐに修復しレースに復帰するも12 位まで順位を落としてしまう。コースに復帰したランディ選手は10 位
までポジションを挽回し、渡辺選手もダメージの残るマシンで周回を重ねるも、転倒の影響による問題を感じ再度
修復作業に入る。
11 位でレースに復帰し、残り5 時間。他車の脱落により10 位に順位を上げ、シングルフィニッシュまであと1 台。
前車との差は約1 ラップ差。チームは諦めることなく残り4 時間をペースが良いランディ選手と渡辺選手の二人で
追い上げる作戦に切り替え、ランディ選手の最終スティント中に前車との差を同一周回差まで詰める。その後
ラストを務める渡辺選手がレース時間残り20 分を切ったところで遂に前車に追いつき9 位でチェッカーを受け、
Team Kawasaki Webike Trickstar の初陣を9 位で終える。
第2戦 スパ24時間耐久ロードレース
チームは更に上位を目指すため、ルマン24 時間で良い走りをしていたグレゴリー
ルブラン選手の起用を決定する。チームに加入したグレゴリー選手はチームの期待に応える様に、レースウィークのテスト走行から良いタイムを記録する。予選はグレゴリー選手、ランディ選手の合算タイムで決勝は9 番グリッドからのスタートとなった。
決勝日、前日のナイトセッション走行後に渡辺選手が体調を崩してしまい、 万全な状態ではない中スタートした。
9 番グリッドからスタートしたグレゴリー選手は ファーストスティントを3位でピットイン。 しかし、 ピットアウト時にセーフティーカーが介入し、 ピット出口で約1分間足止めさせられ 13 位まで順位を落としてしまう。
続くランディ選手の猛追で順位を 5 位まで挽回する。 さらに順位を上げるためプッシュするもなかなか順位を上げられず、レース開始から4時間、 5、 6位で順位が落ち着き周回を重ねていたところ、 ランディ選手がライダー交代でピットレーンに入ったタイミングでガス欠を起こしてしまう。
急いでマシンをピットまで戻し、 迅速なルーティン作業で順位変動なくコースに復帰する。
さらに10 スティント目、 ピットアウト時マシントラブルによりエンジンがかからなくなってしまうが、僅かなタイムロスで順位を落とすことなくコースに復帰する。
そしてレース終了まで残り5時間、 ヘッドライトが片方切れてしまうアクシデントが発生したが、経験豊富なスタッフの機転を利かした判断で短時間のピット作業でコースに復帰する。
残り3時間のタイミングでコースにはパラパラと雨が降り出したが、そのままドライタイヤで周回を重ね、ポジションをキープしたまま5位でチェッカーを受ける。
トラブル回数は少なくはなかったものの、大きくタイムロスすることもなくライダー、チームがベストな仕事をした上でこのリザルトということは、チームにとって足りない要素があることが浮き彫りになってくる。
第3戦 鈴鹿8時間耐久ロードレース
チームはスパ24 時間耐久で見えてきた足りない要素を埋めるため、事前走行テストを行い鈴鹿8 時間耐久ロードレースに挑んだ。
レースウィークは順調に進み、ランディ選手、渡辺選手の合算タイムにより決勝は12 番グリッドからのスタートとなる。
台風の接近により風が強く、不安定な天候の中での決勝レースとなったがスタート前には日が差しドライコンディションでレースがスタートした。12 番グリッドからスタートした渡辺選手は最初のスティントを5 位で終える。
続くランディ選手、グレゴリー選手も良いペースで周回を重ねるも、鈴鹿サーキットを走り慣れている日本人ライダー達はハイアベレージで周回を重ねていき、レース前半は5 位~ 7 位を戦うレース展開となる。
5スティント目、マシントラブルが起こり渡辺選手が緊急ピットイン。約3 分と迅速な作業でコースに復帰するも16 位まで順位を落としてしまう。渡辺選手の力走により順位を14 位まで巻き返すもグレゴリー選手がマシンに異変を感じ再度ピットイン。フューエルタンクを乗せ換え、雨が強く降り出したためレインタイヤを装着し、4 分のピット作業でコース復帰するも順位を15 位まで落としてしまう。
徐々に路面が乾いてきたので残り1時間のタイミングになるまでレインタイヤで引っ張り1時間を切ったタイミングでスリックタイヤに変更し、ランディ選手の猛追により少しづつ順位を上げ、13 位でチェッカーフラッグを受ける。
その後確定リザルトが発表され、#11 Kawasaki Webike Trickstar の順位は12 位となった。
ウィークを通して順調に進んでいただけにとても悔やまれるリザルトとなってしまったが、しっかりポイントを獲得しシリーズランキングの順位を一つあげ、最終戦ボルドール24 時間耐久へと挑むことに。
第4戦ボルドール24時間耐久ロードレース
シリーズランキング5 位に位置するKWT は、これまでになく闘志を燃やしていた。
旧チームSRC のマシンはポールリカールサーキットとの相性が良く、過去に何度も優勝経験も持つため何としてでも表彰台を勝ち取りたい最終戦、事前テスト走行も行いこれまでにないくらいマシンは良い状態に仕上がった。
予選前走行ではランディ選手が4 位を出す好調な走り出しで、予選の結果7番グリットから決勝レースに臨むことに。
決勝日の朝には雨が降り、スタート前は路面が乾いていくようなコンディションだったためインターミディエイトタイヤを選択しレースがスタートする。
上位勢にはレインタイヤを装着したチームが着けているが徐々に路面が乾きだし、グレゴリー選手は順調に順位を上げ5 位につける。
急速に路面が乾いてきたため予定ラップより早めにピットインし、スリックタイヤに変更。
そこから順調にペースを上げ37 周目にはランディ選手が2 位に浮上する。その後3 位でピットインし、続く渡辺選手も安定したペースで周回を刻み4 位から6 位争いを繰り広げていく。
レース開始から7 時間、駆動系トラブルが発生し緊急ピットイン。ロスタイム1 分と最小に抑えるも、その後再び別の駆動系トラブルに見舞われ2 度のマシントラブルで単独6 位となる。
そこから順位を4 位まで回復するも、今度はスロットル制御系のトラブルが発生。再び6 位まで順位を落としてしまう。
レース終了まで残り5 時間、ライバルチームの脱落により5 位に浮上する。
この時点で前後のチームと周回差があったので、残り4 時間を現在の順位でミスなく 走り切るというレース展開に。 その矢先、ランディ選手がコース上に出たオイルに足元をすくわれ転倒してしまう。
転倒+ 修復で10 分近いロスになったものの、このアクシデントでセーフティーカーが入ったことも功を奏し、5 位をキープしたままレースに復帰し、残り3 時間を確実走り切り5 位でチェッカーを受けた。
今回のレースの結果を受けTeam Kawasaki Webike Trickstar 最初のシーズンを年間ランキング6 位で終えた。
Randy de Puniet
今シーズン、新生チームとしてゼロからスタートし、毎戦がチームにとって初めての経験だったから色々大変ではあったけど、5 位2 回、8 位1回、
鈴鹿では12 位と全てのレースを完走できたことがまずは重要なことで表彰台を獲得するためには何が足りないのかも理解できた。
その足りていない要素を来シーズン取り入れることができれば、このチームで必ず表彰台を獲得できる自信があるよ。
今シーズン一度も表彰台に立つことができなかったけど、いつも僕らの事を応援してくれているカワサキファン、特にフランスと日本のファンには本当に
感謝している。彼らのサポートがあるから僕らはカワサキライダーとしてグリーンのマシンに誇りを持って乗っているし士気が上がるんだ。応援してくれる皆のためにも来シーズンにはチームがより成長し、表彰台のレギュラーメンバーにならなくてはね。
Kazuki Watanabe
今シーズンはシーズンを通して表彰台に絡むようなレースができませんでした。
正直悔しい気持ちはあるんですけど、耐久レースの難しさだったり24 時間のリズムっていうのを今年しっかり勉強することができたと思います。
レースを戦うパッケージも自分としては初めてトライするパッケージでのレースになったので、この後のライダーとしての器の部分も大きく出来たのでそれも
今年良かった部分の一つかなと思います。
年間4 戦のこのFIM EWC を無事に終えることができ、たくさんの方に応援していただき、本当に感謝しています。
来季も変わらず応援していただければと思います。本当にありがとうございました。
Gregory Leblanc
チームとして初めてのシーズンにチャンピオンシップを6 位で終えたことはチームにとってもカワサキにとってもポジティブな結果だと思っているよ。
もちろん僕らはもっと上を目指していたし、この結果に満足しているわけではないけど、皆が全力で戦った結果だから納得している。
シーズンオフの間に体制を強化し、来シーズンさらに強いチームとなって戻ってくるから楽しみにしていてほしい。
シーズン中僕らの事を応援し続けてくれたファンの皆、たくさんの声援をありがとう。また来年皆とサーキットで会えるのを楽しみにしているよ。
Ryuji Tsuruta/Team Manager
目指した結果を残すことが出来ずとても残念に思います。
しかし、チーム設立から1年目のシリーズを戦っていく中でTeam KWT は確実に成長しました。
あとは結果をどう残すか、その為に何が必要でどのような準備をするか、今回のレースを糧とし近い将来必ず勝利を手に入れられるように取り組んで参ります。
今シーズンご支援頂いた各スポンサー様、各ライダーをはじめチームクルー及び各関係者の皆様、そしていつも熱い応援を頂いているファンの皆様本当にありがとうございました。
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