プレイバック:YZF-R25とNinja250のマフラー開発の「本当の話」


日本でもJP250クラスがスタートし250人気が加速してきている今だからこそ読んで頂きたい
YZF-R25とNinja250のマフラー開発の話。

みなさんこんにちは。

今回はYAMAHA YZF-R25とKawasaki Ninja250について
皆さんが気になってた本当の話と、
トリックスターでのフルエキゾーストマフラーの開発のお話をしたいと思います。

Kawasakiから2008年に発売されたNinja250Rが世界中で爆発的にヒットし、
HONDAが2011年に投入したCBR250Rの発売と共に250ccスポーツのカテゴリが確立。
2013年にはNinja250RがNinja250へとモデルチェンジを行い更なるクラスの活性化を見せる中で、
2014年12月に遂にYAMAHAファン待望のYZF-R25が発売されました。

これまでNinja250R、Ninja250でのレースとパーツ開発にも力を入れきたトリックスターではこのクラスを牽引するべく
昨年、海外で先行販売されていたYZF-R25を開発用として入手しました。

まずはR25がどれ程の物か、Ninja250との比較です

YZF-R25 VS Ninja250

ノーマルマフラーでの比較
1番
赤 YZF-R25ノーマル
青 Ninja250ノーマル

R25がNinja250に比べてピークで約2馬力上回っています。

細かく言えば、R25の8500回転からの伸びが強烈に際立っていて、
10000~12000回転まで幅広くピークパワーを発揮しています。

乗った感じも全体的に素直な加速でいつのまにかスピードに乗っているといった印象です。
谷の無い綺麗なグラフから、更に高回転を出すべく中速を少しスポイルした開発だったのではないでしょうか。

非常に優等生です。

そして速いです!!

*「谷」とは簡単に説明すると、アクセルを開け、エンジン回転上昇時に途中でボトムしてしまったり
引っかかる様なポイントの事を言います。これによりアクセルワークの妨げに繋がります。

逆にNinja250は中速が厚く、3段階に加速をして行く印象です。
乗った感じではこちらの方が面白いと感じる方も少なくは無いと思います。

それぞれのキャラクターの違いがよく分かるグラフですね。

もちろん市街地走行においてはどちらも十分に扱いやすい中速域や加速感を持っていますよ。

このグラフはあくまでノーマルマフラー装着状態で限界まで回した時の比較です。
公道走行向けの厳しい音量や排ガスの規制をクリアする仕組みの大半はマフラーに詰め込まれていて、
その中でどういった特性を出したかという事です。

つまりこのグラフから読み取れる事は、

「エンジンのみで出た出力の違いでなく、
それぞれがマフラーでどのように特性を出したかの違いのグラフ」

と思って頂いても良いと思います。

私たちマフラーメーカーが作るレーシングマフラーは、
ノーマルマフラーに比べて可能な限り最高出力を伸ばし、
谷の無い綺麗な加速を目指して作成していきます。

政府認証マフラーは、更に厳しい規制の範囲の中でこれを可能な限り限り突き詰めた物です。

谷が無く高回転域に強いグラフ。

そういった意味で、R25のノーマルマフラーの出来は非常に素晴らしいです。
規制の範囲内に抑えるだけで無く、その中でここまで作り込んでくるとは正直想定外でした。

R25のノーマルマフラーは本当に完成度が高い!!

ノーマルマフラーの出来が素晴らしいという事は、 私たちアフターメーカーが作るマフラーの伸びシロが少ないと言えます。

YZF-R25

レーシングフルエキゾースト開発

開発初期段階、最高出力重視の物を作っていたんですが中々中速が出ない。

従来通りのマフラー開発では、ノーマルマフラーを超える事すら難しい!!

パイプ径を変え、管長を変え、
なんとかノーマルマフラーを僅かに上回る中速域と高回転の伸びが出た物が出来ました。

さっそくサーキットに持ち込み、実走行テストです。

テストライダーは勿論、トリックスター代表の鶴田竜二自ら行います。
2番
しかし、それはレーシングマフラーとして満足の行く出来の物ではありませんでした。
高回転が出ていても、5000~7000回転が物足りないんです。

そこで改めて感じたのがデータはあくまで目安という事。
データ上で上回ったからといって走らせると速く無いんです。

レーシングマフラーとは、グラフも大切ですが、
最も重要な事はサーキットで走って速いマフラーです。
幸いにも代表の鶴田が元チャンピオンライダーであると同時に、過去メーカーで車両の開発なども行っていただけあって、
最高のテストライダーがいるというのは心強い限りです。

ここから更に様々な開発を繰り返しました。

最適なパイプ径と管長を突き詰め、集合部を工夫し、更にはパイプの曲げのアールも何パターンも試し、
様々な組み合わせで実験しました。
サイレンサーもありとあらゆる物を試し、 シャーシテストは勿論の事
手間暇をかけて数え切れない程の実走行テストを繰り返しました。
3番
R25のレーシングマフラーを作成する上でポイントになってくる事は
素晴らしいノーマルマフラーに比べて最高出力をどこまで伸ばせるかという事と、
5000~7000回転の中速域を少しでも上げて、最高速に到達するまでの時間を可能な限り短縮し、
滑らかな曲線に持って行く事です。

開発に取り掛かってから数ヶ月。

かなり苦労しましたが、やっと自信作を作り上げる事が出来ました!!
4番
赤 YZF-R25レーシングフルエキゾースト
青 YZF-R25ノーマルマフラー

これが実際の走行性能を求め、開発と実走行テストを繰り返した結果です。

ピークで約2馬力上回り、加速性能も更に向上させました。
高速の伸びはもちろん、そこに行き着くまでの加速感が全く違います。

このマフラー、相当速いです!
5番
YZF-R25/YZF-R3 レーシングフルエキゾーストマフラー

Ninja250

レーシングエキゾースト S-LINE開発

次にNinja250です。

このバイクはR25に比べマフラーでの伸びしろが大きいため、とてもやり甲斐があります。

やはりエキパイのパイプ径と曲げ、管長、集合部とあらゆるパターンで試します。

ノーマルで出ていた谷を消しつつ、最高出力を解放します。

最高出力はやればやる程伸びて行きます。
7000回転、9000回転付近にあった谷も綺麗に修正でき、回せば回すほどスムーズに加速して行きます。
高回転域も、マフラーで出来る限界まで突き詰めました。

シャーシで何度もテストし、ある程度納得できれば、すぐにサーキットに持ち込みます。

6番
もちろん、鶴田自ら実走行テストを繰り返します。
7番

こちらも非常に納得の行く出来に仕上がりました!!

新型サイレンサーのS-LINEはかなり優秀なサイレンサーです。
性能重視の方は是非一度乗って欲しいですね。
眠っているNinja250の本来の性能を呼び覚ます一本です。
8番
赤 Ninja250ノーマルマフラー
青 Ninja250レーシングフルエキゾーストS-LINE

ピークで約4.5馬力アップ。更に全域で性能を大幅に向上させる事に成功しました!

ノーマルマフラー装着車両と乗り比べて比較すれば、もう別のバイクです。
サーキットではまだまだNinja250Rに根強い人気があるようですが、
トリックスターはNinja250をお勧めします。

このバイク、速いですよ?
Ninja250/Ninja300 レーシングフルエキゾーストマフラー S-Line
YZF-R25 Ninja250

レーシングフルエキゾースト比較

最後に、R25のフルエキゾーストと、Ninja250レーシングフルエキゾーストS-LINEの比較です。

これは皆さん、本当に気になっている所では無いでしょうか。
9番
赤 Ninja250レーシングフルエキゾーストS-LINE
青 YZF-R25 レーシングフルエキゾースト
10番
Ninja250とYZF-R25 トリックスター製レーシングマフラーを装着して比較した場合、Ninja250がグラフ上で0.5馬力上回りました。

という事で、トリックスター製マフラーを装着した状態では、 R25もNinja250も性能的には間違いなくパワーアップし、 実走行ではどちらも遜色無いと言えます。

ただし、これはマフラーのみ変更の比較です。 車両によって、吸気、排気、ECUによる依存度が違います。
さらにはサスペンションを含めた車体のバランスによっても大きく変わります。

ここからはその組み合わせによっても変わってくるので、 サーキット走行でタイムを縮める為に特性を変更して行く場合、信頼のおけるショップでのセッティングと、 サーキットでの実走行でご自身の手で試して行かれる事をお勧め致します。

もちろん、TRICK STAR NAGOYAでもお客様のご要望に合わせたセッティングを致しますので、
お気軽にお問い合わせ下さい。

先日、アジアロード選手権の250ccクラス フル参戦を発表しましたが、
この車両開発で嫌という程テストを繰り返し、
各サーキットでクラスのコースレコードを更新していますので
色々と引き出しが増えています。

例えばこんなのとか
バックステップ
こんなのとか。
イニシャルアジャスター
どれもサーキット走行には必須アイテムです。

YZF-R25とNinja250。

どちらも本当に素晴らしいバイクです。

そして、両車まだまだ伸びシロがあります。

マフラー開発も、サーキット走行も、その他の色々なセッティングも、
やればやる程結果が出るので本当に楽しい!!

みなさん、是非この250cc沼に足を踏み入れて下さい。

抜け出せなくなっちゃいます!!
11番
新型S-LINEサイレンサーのラインナップも拡充予定です。 R-25用も注目のNinja250SL用も開発中です!!
Ninja250SLも同様に去年から開発用車両を入手して 徹底的に開発とテストを行ってます。 R25やNinja250とは全く違うキャラクターなんで 早く皆さんに乗って欲しいです!
乞うご期待!

*文中で「谷」と表現している部分がありますが、これまでトリックスターで開発してきたマフラーは
全て通常の街乗りからサーキット走行で乗りづらいと言ったレベルの谷ではありません。

グラフ上はともかく、鶴田が乗ってもわかるようなレベルの谷が出るマフラーは一本も販売しておりません。
レースで上位を狙う方や、レコードタイムを狙う方でやっと気付くレベルです。

逆に言えば、そこまで突き詰めたマフラーのレベルを基準に製品の開発をしております。

皆様、ここまで性能に拘って作るTRICK STAR製マフラーです!

一度試してみませんか!?

 

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