2025 FIM ENDURANCE WORLD CHAMPIONSHIPスパ8時間耐久ロードレース 結果報告
6日/予選
ル・マン大会の事前テストでの負傷から復帰を果たしたクリスチャン選手がチームに合流し、グレゴリー・ルブラン選手/マイク・ディ・メリオ選手/クリスチャン・ガマリノ選手の3名体制で挑むこととなった。
前戦ル・マンで2位表彰台という好成績を収めたKWT。ル・マン大会で煮詰めたマシンセッティングが好影響を与え、チームは比較的良い流れでフリープラクティスを進行。
さらに多くのデータを収集し、ウェットコンディションでのセットアップは上々の仕上がりを見せた。決勝を見据えてどんな路面状況にも対応ができるよう、ドライコンディションでのセッティング作りを優先しつつ予選へ臨むこととなった。
【ライダーブルー|クリスチャン・ガマリノ選手】
雨がいつ降り出すか不安定な天候の中、ドライコンディションで予選がスタート。2周目に2分21秒964をマークし、さらにタイムアタックを試みたところ転倒を喫してしまう。すぐにメカニックがマシン修復を施し、グループ8番手でセッションを終えた。
【ライダーイエロー|マイク・ディ・メリオ選手】
決勝に向けて、直前の転倒によるマシンコンディションやサブカーのチェックをしながらの予選となった。ガマリノ選手が使用したタイヤをそのまま使用し、慎重にアタックを進めつつ2分22秒404を記録。グループ12番手でセッションを終える。
【ライダーレッド|グレゴリー・ルブラン選手】
1回目予選では2分21秒618をマークしグループ8番手。さらに2回目予選では2分20秒635までタイムを更新。チームのベストタイムを記録しグループ3位を獲得。
グレゴリー選手とガマリノ選手の合算タイムにより、Kawasaki Webike Trickstarは9番グリッドから決勝レースへ挑むこととなった。不安定な天候と目まぐるしく変化する路面状況の中でも着実にセッティングを進め、マシンは良い仕上がりとなった。決勝では、さらなる上位進出を目指し、チーム一丸となって戦いに挑む。
7日/決勝レース
現地時間 12時30分にスタートしたスパ8時間耐久ロードレース。
路面にはウエットパッチが残るものの気温は暖かく、 コンディションは非常に読みづらい状況で幕を開けた。
スタート45分前のアウトラップと比べても路面状況は急速に乾いており、 ウォームアップラップからスタート進行の間にも刻一刻と変化する難しいレースの幕開けとなった。
スターティングライダーを務めたのは グレゴリー・ルブラン選手。
9 番グリッドから好スタートを切り、 オープニングラップを5位でメインストレートに戻ってくる。その後も安定した走行を重ね、 4位でピットインし、 マイク・ディ・メリオ選手へとバトンを繋ぐ。
この頃には天候も安定し、 路面はほぼドライへと変化。しかし今度はバックマーカーが多く、 ライン取りが非常に難しい状況が続いた。マイク選手は6位でピットインし、 クリスチャン・ガマリノ選手にバトンを託す。
レース開始から約2時間半を迎えたタイミングで、 再びレインフラッグが提示され、 雨が降り始める。一時的に雨がやみ太陽も覗くものの、 ホームストレートからオールージュ区間は完全ウエット、 その他はドライとウエットが入り混じる非常にトリッキーなコンディションとなった。さらにバックマーカーの渋滞も加わり、 ライダーにとって極めて難しい局面が続いた。
ここで再びピットインし、 グレゴリー選手がコースイン。レース開始から約3時間5分、 再び激しい雨が降り出し、 コースは完全なフルウエットへと変化。
この時点で Team KWTは5位を走行中。トップ4チームよりも1回少ないピットストップでここまで走行を重ね、 トップとの差は約1ラップという堅実なレース運びを展開する。
レース開始から4時間を迎える頃には再び雨が止み、 路面にドライラインが形成され始めた。 “スパウェザー” と呼ばれるほど変化の激しい天候に翻弄されながらも、 Team KWTは5位をキープ。
5 時間半経過時点でも状況は安定せず、 太陽が見え始めたものの、 依然としてコース上にはウエット箇所が多く残り水飛沫が上がる難しいコンディションが続いた。
常に変化し続ける過酷なコンディションの中、 ライダー、 メカニック共にミス一つなく仕事を全うしKawasaki Webike Trickstar は 5 位でチェッカーフラッグを受けた。
このスパ8時間耐久でも確実にポイントを積み重ね、 シーズンランキングでは総合2位をキープ。
次戦は、 いよいよ日本のファンの皆様の前で戦う特別なレース、 真夏の大舞台 鈴鹿8時間耐久ロードレース。ル・マン、 スパで積み上げてきた経験と手応えを武器に、 そして何より、 日本のファン、 スポンサーの皆さんに最高の瞬間を届けるべくチーム一丸となって全力で挑む。
クリスチャン ガマリノ選手コメント
非常に難しいレースでした。天気予報からも予想はしていましたが、 実際にここまで雨が降るとは思いませんでした。
バイクのフィーリングは全体的に悪くなかったのですが、 特にドライコンディションではうまく合わせ込むことができず、 フリー走行から調整の時間が限られていたことが影響しました。
それでも、 5位という結果は決して悪くないと思いますし、 チームとしてランキング2 位をキープできたことは大きな成果です。まだ3位との差も僅かなので、 これからも全力で戦っていきます。
実は、 1回目予選で激しいハイサイドがあり、 正直なところ 「この週末は走れないかもしれない」 と思った瞬間もありました。
それでもこうして仲間たちと共に戦えたこと、 再びこの場に戻って来られたことをとても嬉しく思います。
来週は鈴鹿でのテストも控えており、 日本のファンの皆さんの前で走れることがとても楽しみです。また素晴らしいイベントで皆さんとお会いできるのを楽しみにしています。
Kawasaki Webike Trickstar のチーム、 仲間たち、 そして応援してくれたすべての皆さんに感謝します!
マイク ディメリオ選手
スパでのレースは5位という結果でフィニッシュしました。 ポイントも獲得でき、 チームとしては悪くない結果ですが、 正直なところ簡単なレースではありませんでした。 このサーキットは非常にハイペースで、 私たちにとっては少し苦戦するレイアウトでした。バイクのフィーリング自体はとても良く、 コントロール性も高いですが、 エンジンパワーの部分ではまだ改善が必要です。自分たちのウィークポイントは明確なので、 しっかりと修正し、 次戦へ向けて取り組んでいきます。
とはいえ、 チャンピオンシップでは現在2位をキープしており、 しっかりとタイトル争いに食らいついていけるポジションにいます。 ここで得たデータと課題を活かして、 必ず次に繋げていきたいです。
そして、 次の舞台は鈴鹿8時間耐久ロードレース。私にとって鈴鹿は特別なサーキットで、 日本のファンの皆さんの声援と熱気が毎年本当にすごくて楽しみにしています。 来週とその翌週にはテストも予定しており、 レース本番に向けてできる限りの準備を整えたいと思っています。レースがとても楽しみです。
鈴鹿で皆さんに会えるのを心から楽しみにしています!
グレゴリー ルブラン選手
レースが終わり、 結果は5位フィニッシュ。正直、 嬉しいような、 悔しいような──少し複雑な気持ちです。
それでも、 トップ5でチェッカーを受け、 チャンピオンシップにとって大きなポイントを獲得できたのはポジティブに捉えています。
今回も前回に続き、 本当に難しいレースでした。路面はドライとウェットが何度も入れ替わり、 コンディションを読むのが非常に難しく、 少しの判断ミスが命取りになるような展開でした。
そんな中でも、 チームとして大きなミスなくレースを運び、 無事にフィニッシュできたことは評価できると思います。
もちろん、 このスパでも表彰台に立ちたかったという気持ちはあります。ですが、 この結果でランキング2位を維持した状態で鈴鹿に向かえることは、 大きな前進です。
次戦の鈴鹿8時間耐久レースは、 チャンピオンシップ争いの中でも非常に重要な一戦。このスパで得た学びと経験を活かし、 チーム全員で全力を尽くして、 できればランキングトップへと浮上したいと考えています。
最後に、 チームの仲間たち、 ブリヂストンさん、 そして多くのスポンサーの皆さまに心から感謝しています。
そして、 いつも応援してくれているファンの皆さん、 Kawasakiを愛してくれている皆さん、 本当にありがとうございます。
鈴鹿で、 皆さんにまたお会いできることを楽しみにしています。
鶴田竜二 チームマネージャー コメント
スパ8時間耐久レース決勝は、 5位でゴールする結果となりました。
初戦のル・マンに続き、 表彰台に立つ事は叶いませんでしたが、 途中で雨が激しく降ったり止んだりとコンディションが刻々と変化する難しい状況の中、 各ライダーとクルーがベストを尽くし、 なんとか5位で走り切ることができたのは良かったと思っております。
今回の結果により、 幸いにもシリーズランキングでは2位に位置しており、 タイトル獲得も十分に視野に入っております。
決勝レースでのパフォーマンスが今ひとつ振るわなかったのは、 やはり調整不足が要因だったと感じております。
次戦までにしっかりと改善を施し、 勝利を掴めるよう取り組んでまいります。
いつも私達チームを支えてくださっているスポンサーの皆様、 ご協力いただいている関係者の皆様、 そして熱い応援を送ってくださるファンの皆様に、 心より感謝申し上げます。
今後とも、 私たちKawasaki Webike Trickstar へのご声援をどうぞよろしくお願いいたします。
Here is the English version of the race report⇩