2024 FIM世界耐久選手権 “コカ·コーラ” 鈴鹿8時間耐久ロードレース 第45回大会
19 日/ 予選
初めて鈴鹿8 時間耐久ロードレースを経験するクリスチャン選手、ロマン選手を携え挑んだ第3 戦目。
予選開始前には気温33 度、路面温度は50℃を超えるようなとにかく暑いコンディションの中行われた。
決勝に向けたセッティングのため、レースタイヤを装着して予選へ挑むことに。
1 回目予選、新品タイヤを投入し勢いよく飛び出したライダーブルー グレゴリー選手、計測2 周目で2 分8 秒
241 と好タイムを記録する。その後のアタックを試みるも、赤旗により中断となってしまう。
タイヤを温存するためにピットインし、1 回目予選を終える。
2 回目予選では記録更新を目指し果敢にアタックするも記録更新ならず、予選終了となった。
続くライダーイエロー、クリスチャン選手の1 回目予選はグレゴリー選手のタイヤを引き続き使用して挑んだ。
計測2 周目で2 分8 秒895 を記録し、更にタイムアップを試みるもライダーブルーの予選に引き続き転倒者が
続出し、赤旗が振られてしまう。
再開後、ペースをあげるクリスチャン選手は2 分8 秒688 とタイムアップに成功し、1 回目予選を終える。
2 回目予選では、新品タイヤを投入し更に上の順位を目指してピットから走り出す。
1 回目予選同様に計測2 周目で2 分8 秒737 と好タイムを記録し、そこから更にスピードアップしたクリスチャン
選手は2 分8 秒414 と1 回目の記録を上回るタイムを更新、2 回目予選を終えた。
そしてライダーレッドのロマン選手、1 回目予選ではクリスチャン選手の予選時のコメントをフィードバックし
少しセッティングを変更し、確認作業に時間を充てる予選となった。
2 回目予選は、時間変更によりスタートが17 時3 分と路面温度も下がり、タイムアタックするには絶好の
タイミングとなった。新品タイヤを投入し走り出したロマン選手は計測2 週目で2 分8 秒397 と、レースウィーク
で初めて鈴鹿サーキットを走行したとは思えないタイムを叩き出した。
グレゴリー選手とロマン選手の合算タイムにより、決勝は18 番グリッドよりスタートすることとなった。
21 日/ 決勝レース
決勝日は鈴鹿8 時間耐久ロードレースらしい猛暑日となった。
予選順位は高くないものの、決勝を見据えたセッティングを進めていたため、表彰台を目指して戦い抜こうと
モチベーション高く始まった決勝前のウォームアップ走行では、マシンセッティングが良くなりグレゴリー選手が
良いアベレージで周回を重ねていく。そんな最中、グレゴリー選手が転倒を喫してしまう。
グレゴリー選手は転倒による負傷でドクターストップを余儀なくされる。
急遽スターティングライダーをグレゴリー選手からクリスチャン選手に変更し、
グレゴリー選手の気持ちも背負って2 名のライダーで挑む過酷なレースに。
18 番グリッドから飛び出したクリスチャン選手、スタートで少し出遅れてしまうも
3 ラップ目で15 位まで順位を取り戻す。
その後も好ペースで周回を重ね、7ラップ目には1つ順位をあげて14 位につける。
Team KWT は燃費の良さが強みのため、他チームがピットインをする中粘り強く走り続け、5 位でピットインする。
初の鈴鹿8時間耐久ロードレースで、さらには2 名体制と過酷な状況にも関わらず、笑顔を見せるクリスチャン選手にチームの志気も高まる。
続くロマン選手、ピットアウトし14 位につける。良いペースで周回を重ねていくも46 ラップ目に急激にタイムを
落としてしまう。
クリスチャン選手同様に初めて鈴鹿8 時間耐久ロードレースを経験するロマン
選手、ピット内のチームクルーにも不安が過る。
そして53 ラップ目に転倒してしまい、緊急ピットインするもピット内で意識を
失い倒れこんでしまう。
すぐにメディカルセンターに運び込み処置をしてもらうも、やはり慣れない
鈴鹿サーキットの暑さで熱中症を起こしてしまっていたようだ。
既に2 名体制でレースを行っていたため、事実上走行不可能となってしまったものの、ドクターの判断とライダーの気持ちを鑑みて、チームはリタイアするのではなく今後の経験の為諦めずにゴールを目指す方向へ切り替えることに。
クリスチャン選手には自身のスティント数を全うしてもらい、良いアベレージで周回を重ねて来年への可能性を魅せてくれた。
レース終盤になると、幸いにも体調を崩していたロマン選手が回復して、走行したい意欲を見せてくれたためラストスティントを走り、ゴールを切ってもらうことに。
そして周回数123 回、未完走扱いで真夏の祭典鈴鹿8 時間耐久ロードレースの幕を閉じた。
我々にとって非常に厳しい戦いとなったが収穫も大きく、次戦のボルドール24 時間耐久にむけての準備が整ったと言えるだろう。
グレゴリー ルブラン選手コメント
ウォーミングアップ中に大きく転倒し、レース前のチームにハンディキャップ
を与えてしまったことを、とても申し訳なく思います。
レースで自分の役割を全うし走行したかったですが、レースをしている以上
負傷してしまう可能性があるというリスクは避けられないことです。
最終戦 ボルドール24 時間耐久ロードレースでは、もっと強くなって
戻ってきます。
沢山の応援ありがとうございました。
クリスチャン ガマリーノ選手コメント
グレッグが朝のウォームアップで転倒し負傷してしまったため2人体制で
決勝を迎えることになってしまった上、ロマンが最初のスティントを
終えた後熱中症を発症してしまい、チームにとってはさらに厳しい展開と
なってしまいました。
そんな状況でも自分はできる限りの努力をしようと3 スティント連続走行を
したのですが、その後のスティントを全てひとりで走りきることは不可能で
体調の万全でないロマンとふたりでなんとか完走することを目指すことしかできませんでした。
この週末3 人ともペースも良く好調だったので残念な結果となってしまいましたが、来年に向けて
貴重なデータを得ることができたので、来年の鈴鹿でこの悔しい気持ちを必ず晴らしたいと思います。
ロマン ラモス 選手コメント
とても厳しい週末でした。決勝日朝のウォームアップでチームのリーダー的
存在のグレッグが転倒により負傷してしまい、鈴鹿8 耐の経験豊富な彼なし
でレースをスタートすること自体が色々な意味ですでに困難な状況でした。
クリスチャンがスタートライダーを務めてくれ、自分が2 回目のスティントで
走ったのですが、走行中全身が攣ってしまい、ピットインした時には一瞬
意識が朦朧としてしまったために医務室で診断を受けざるを得ませんでした。
脱水症状を発症していたのだと思います。
医務室で容態が落ち着くまで1 時間半くらい休み、その後また走行することはできたのですが、すでに上位を争うような状況ではなく、チームとして完走を目指すことしかできませんでした。
自分にとって初挑戦の鈴鹿だったのでとても残念な気持ちではありますが、気持ちを切り替えて
まずは体調を完全に回復させて次戦ボルドールに臨みたいと思います。応援ありがとうございました。
鶴田竜二 チームマネージャー コメント
鈴鹿8時間耐久ロードレース、応援ありがとうございました。
我がチームはレース前のウォームアップ走行にてグレゴリー選手が転倒し
重症を負い2名のライダーで挑む事となりました。
それでも懸命にゴールを目指して戦いました。
グレゴリー選手が不出場となった後をクリスチャン選手が見事にカバーし、
スタートライダーを務めるも交代したラモス選手が走行中に熱中症となり
走行を一時的に断念する事となりました。
既に2 人でレースを行う事になっていたので1 人のライダーで残りの時間の全てを走る事は不可能となりこの時点で事実上のレースは出来なくなってしまったのです。
しかし我々は諦める事なく次なるシーンに向け、クリスチャン選手には自分のスティント数をしっかり全うしてもらい、ゴールを目指しました。
レース終盤になると幸いにも体調を崩していたラモス選手がゆっくり水分を摂りながら身体を休めた事で体調も戻り、最後のスティントを元通りのスピードで走り切りなんとかチェッカーを受ける事が出来ました。
私達が決勝まで積み上げてきた準備がこんな形で終わってしまった事と、応援して頂いている皆さんの期待に沿えなかった事がとても残念に思います。
しかし、ライダーもクルーもそれぞれの立場において全力で最後まで戦い抜いてくれた事に感謝しております。
この悔しい思いを次のレースに繋げたいと思います。
暑い中、最後までご協力を頂きました各関係の皆様、ご支援を頂きました各スポンサー様、熱い応援を頂いたファンの皆様に感謝しております。
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