2021 FIM 世界耐久選手権シリーズ第1戦 レースレポート
■参戦レース:ルマン 24 時間耐久 開催日:2021 年 6 月 12-13 日
■サーキット:ルマンブガッティサーキット / フランス
■チーム名 :Webike SRC Kawasaki France TRICKSTAR
■ライダー :ジェレミー・ グアルノーニ / エルワン・ニゴン / ダビド・チェカ
■監督 :ジル・スタフラー
■結果 :予選 7 位 決勝 2 位
決勝レース序盤、素晴らしいスタートを決めて3位を走行
7番グリッドからスタートしたWebike SRC Kawasaki France TRICKSTAR(以下、#11号車)はスタートライダーのグアルノーニ選手が素晴らしいスタートを決めて一気に3位にジャンプアップする。
その後、ひとつ順位を落としてしまうものの3スティント目のチェカ選手が走行中に再びポジションを上げて3位に浮上する。
トラブル発生!約7分間のピットストップを余儀なくされる。
3時間を経過するころ、グアルノーニ選手が3位を走行中にフロントブレーキのフィーリングが無くなり予定外の緊急ピットインとなる。問題が起こったフロントブレーキ周りのブレーキシステム一式をバックアップしていたものに交換をしてコースに復帰。
このトラブルにより約7分のストップを余儀なくされてしまったが、同時に時間のかかるルーティン作業も済ませレース全体で見た時のタイムロスを最小限に抑えるというチャンピオンチームならではのピット作業が光りました。
9位でレースに復帰。レースはまだ序盤、追い上げ開始!!
緊急ピットインからコースに復帰。7分のロスが響き9位までポジションを落としてしまう。ここから追い上げ開始となる。4時間経過時点で6位、5時間経過時点で5位、6時間経過時点で4位とひとつづつ確実にポジションを上げていく。前を行く#5号車との差は2周と大きく、辛抱強く、確実にその差を縮めていく必要があった。
8時間経過。3位を走る#5号車との差は1周の差まで縮まる。
レースの1/3となる8時間が経過。#11号車は4位を走行中、3位を走る#5号車との差は2時間で2周から1周に縮まり、順調に追い上げていく。日も傾き気温、路面温度共に下がり、24時間耐久レースの正念場、夜間走行へと移っていく。
前車のトラブルにより3位に浮上。#5号車との差は約1分に詰めたが・・・
レース開始から10時間が経過した頃、トップ争いを繰り広げていた#7号車がトラブルにより戦線を離脱してしまう。これにより3位に浮上。前を行く#5号車との差は約1分とあと少しのところまで追い上げる。
しかし、コースアクシデントによるセーフティカーの介入が運悪く#5号車との間に入ってしまい約1周近い差まで戻ってしまう。
再びトラブル発生!駆動系に異変が生じてしまい緊急ピットイン。
レース半分となる12時間が経過した頃。駆動系にトラブルが発生してしまい、レース2度目の緊急ピットインとなってしまう。チームは素早くトラブルを対処して再びコースに送り出したものの、3分近くのタイムロスとなってしまい2位の#5号車との差は再び2周差になり、ふりだしに戻ってしまう。
前車のトラブルにより2位に浮上!レースは残すところ5時間となる。
2度目のトラブルから復帰した後、夜間走行の気温、路面温度は共に低くなっていく。リスクがあり難しいこの時間帯では大きく差を詰めることが出来ないまま、夜が明ける。
レースが2/3を経過して残すところ5時間となったころに、前を行く#5号車がトラブルに見舞われてしまい、これにより2位に浮上。
トップを走る#1号車は上位陣では唯一ノントラブルで走行しており、2度のトラブルで約10分のロスがあった#11号車が追いつくのは現実的に難しい差が開いていた。そのためここからは、ミスなくゴールを目指すという戦いになっていきます。
2度のトラブルを乗り越えて堂々の2位表彰台を獲得!!
2位に浮上後のラスト5時間はトップを走る#1号車とは大きな差が開いていたため、表彰台獲得に向けてチーム、ライダー共に決してミスが許されない中での自分との戦いの時間。
そんなプレッシャーのかかる難しい時間帯の中、体力、集中力共に限界に近い状態で、高い意識と集中力で最後までミスをすることなく走り切り堂々の2位でチェッカーを受けることが出来ました。レース中、2度のトラブルを乗り越え、その中で出せるであろう最高の結果を出すことが出来ました。
Team Webike SRC Kawasaki France TRICKSTARチームコメント
ル・マン24時間耐久レースで私たち、Team Webike SRC Kawasaki France TRICKSTARはNinja ZX-10RRを駆り2位でフィニッシュしました。
3人のライダー、ジェレミー・グアルノーニ、エルワン・ニゴン、ダビド・チェカは昨年に続いて再び勇気と忍耐力を示しました。
ル・マン24時間耐久レースで最も成功したオートバイメーカーであるカワサキは、記録的な15回目の勝利を収めることに近づきました。
しかしレースのスタートは多くの紆余曲折があり、ジェレミーは7位からスタートし、セーフティカーが介入する前になんとか3位を獲得した。
しかしトラブルに見舞われ#11号車はポジションを落としてしまいました。
その後、私たちはミスすることなく安定したレース展開を続けて少しずつ順位を挽回した、そして一晩で2位までポジションを上げました。これは序盤にトラブルがあった私たちからしたらとても理想的なシナリオですが、私たちが立てた戦略が良い結果を上げたということです。
レース中はTRICKSTAR IKAZUCHIエキゾーストとDUNLOPタイヤを装備したNinja ZX-10RRは、特に夜間の気温が低いシチュエーションで完璧に機能して夜間の追い上げを優位に運ぶことができました。
チームSRCのチームマネージャー、ジル・スタフラーは次のように述べています。
とても暑く、競争は厳しく、チェッカーフラッグが掲げられるまでは何が起こるかわかりませんでした。
しかし、私たちは非常に良い戦いを成し遂げることができました。それにより、チャンピオンシップの重要なポイントを獲得することができました。
チーム全体が素晴らしいチームワーク、素晴らしい結束力、そしてチームとライダーが持つ豊富なレース経験をもって、困難を乗り越えこの順位を獲得することを可能にしました。
Ninja ZX-10RRは、その並外れた信頼性とパフォーマンスを再び示しました。
とても感動的な素晴らしい結果を収めることができ、チーム関係者におめでとう、そしてすべてのパートナー、特にELF、Dunlop、Webike、TRICKSTAR、Tivoly、Primset、NGK、RKに感謝します。
7月17日にポルトガルのエストリルで開催されるEWC世界耐久選手権の次の試合でお会いしましょう!
スーパーバイザー鶴田竜二 コメント
今年のル・マン24時間耐久レースは、延期になり初の6月開催という事でコンディションは今までにない高めの気温の中で行われライダーの体力面とタイヤに掛かる負担は相当なものでした。
そんな中でも終わってみればチームは結果的には昨年に続き2位でした。
レースは順調に序盤で3番手に着けこのままの流れでいけると思っていましたが、3時間目に差し掛かった時グアルノーニ選手が、フロントブレーキの違和感をうったえ緊急ピットインがありました。
それと中盤から後半に移った時期に駆動系の違和感があった為、それを修正する為約3分ピットストップをしました。
しかし、いずれもメカニック達は監督の素早い判断に従い、迅速な作業を行い、これを受け、何とかリカバリーすべくライダーは高い集中力をもって走り切りました。
クルー達も完璧なピットワークをこなし見事に2位を掴み取りました。
昨年この場所に体調不良の為不在となったジル・スタフラー監督が復活し、見事な采配を振るい、ライダーのジェレミー・グアルノーニ、エルワン・ニゴン、ダビド・チェカとクルー達は本当に良い仕事をしました。
今年は優勝こそ出来ませんでしたがチームの総合力で成し遂げた快挙だと思っています。
この結果と内容はこの先のシリーズ戦に対し、必ず良い弾みになったと確信しております。
最後になりましたが、私達Team Webike SRC Kawasaki France TRICKSTARに多大なるご支援と、熱い応援頂きました全ての皆様に感謝しております。