TRICKSTAR 製品開発ブログ #002 材料特性


製品開発ブログ 『材料特性』

今回ご紹介するのは・・・

↓これ、ZX-10Rのバックステップ! ではなく、 ステップの材料の話をします。

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弊社のステップキットはボルト・ナットや一部のピンを除き、ほとんどがアルミ切削の部品で構成されております。ですが、一言でアルミと言っても様々な種類があります。今回は、ステップキットを使って簡単なアルミのお話をします。

 

①まずはステップバー。 6000番台のアルミ材を使用しております。 理由は衝撃に対して曲がる特性をもつためです。 前回にも説明しましたが転倒時にステップバーが曲がることでフレームへの攻撃を軽減させます。もっと曲がる種類もあるのですが、ステップバーとしての強度も必要であり、バランスを考えこの番手を採用しております。

 

②次にメインとなるアジャストプレート。 ここでは高強度であるジュラルミン系の材料を使用しております。 このプレートはマスターシリンダーを固定しております。 ブレーキペダルからの力がマスターシリンダーに加わった際に強度の低い材料では、プレートがしなってしまいリニアな操作ができなくなってしまうからです。ちなみにジュラルミンと呼ばれるものには以下の3種類があります。

 

・2017 → ジュラルミン

・2024 → 超ジュラルミン

・7075 → 超々ジュラルミン

 

安易なネーミングですね。 ちなみに強度が上がるほどに値は上がり、耐食性は低くなります。 特に7075材は、応力腐食割れという問題が起こりやすいため、使用する場所と用途に注意する必要があります。 (応力腐食割れについては別の機会でふれたいと思います。) また、この3種類、日本では容易に手に入るのですが海外では入手困難なものもあります。特に2017材。 台湾、中国、東南アジアでは手に入りません。 日本では7075材は2017材の2倍相当の高価な材料ですが、日本以外の国では2017材は輸入する必要があるため7075よりも高価になることがあります。

 

③次はヒールガードです。ここも6000番台、もしくは5000番台を使用します。 強度・剛性がそれほど必要としない部品です。この部位の理想を言えば、ドライカーボンを使って更なる軽量化をはかりたいところですが、その分価格もあがるためアルミ製となっております。

 

このように、強度、剛性、価格、さらに今回は説明していませんが 表面処理を考慮したうえで材料の選定が行われております。今回は強度という面からアルミ材の説明をしたため、5000番や6000番に比べ ジュラルミン系 が優れているように思えてしまうかもしれませんが、決してそうではありません。 重要なことは用途に応じた選定です。ちなみにジュラルミン系は、溶接ができない、 高価、 応力腐食割れが発生する、といった弱点があります。 対して5000、6000系にはそういった問題はありません。

 

ちなみに ZX-10R用ステップは現在開発中。 乞うご期待!

 

 

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